本書は以下の書籍と同組織の著者なので、プロセスはおおむね同様のものと思われる。
会社を離れた施設などで2日間かけてワークショップを行う。
STEP1 チームビルディング
主に経営チームを対象にパーパス策定のチームを集め、まずはエクササイズとして以下のようなゲームを行う。
相互理解のための強み当てゲーム
- 人数は6名までが望ましい
- ストレングスファインダー等でメンバーの強みを診断しておく
- この強みは誰の強みか?を当てるのがゴール
- 名前を伏せて強みを紙に書き貼り出す
- 誰の強みかは気にせずどんな人か想像を膨らませる
- ファシリテーターが質問する
- どんな人っぽい?
- 得意そうなことは?
- 有名人に例えると?
- この人が気をつけるポイントは?
- 本人は平然と振る舞う
- 最後にどの強みが誰のものかを発表
- 正解オープン
STEP2 現状の振り返り
「誇らしいこと」「残念なこと」などの観点で現状を振り返る
それらを付せんに書き込み貼り出す。
STEP3 Purposeを作る目的・要件定義
自分自身、経営陣、社員にはどのような変化が起きていることが望ましいかを考える。
次にその変化をもたらすために、パーパスやビジョンには、どんな条件が必要かを洗い出す。たとえば、わかりやすい、覚えやすい、チャレンジが感じられるなど。
STEP4 自社の強みの発掘
2人1組となって互いにインタビューを実施し、「これまでの最高のストーリー」や「その際発揮された、その人の強みや価値観」を振り返る。
これらも付せんで貼り出して、他のメンバーにも紹介する。全員分の付せんを貼り出すと、その中に共通する項目が見出だせる。これが会社としての強みになる。そのチームが持つ本質的、絶対的な価値であり、行動する際のエネルギーの源がそこにある。
本書の著者が所属するアイディール・リーダーズでは、これらの強みを紙に書いたり、風船に貼り出すなど「オブジェ」として表現しイメージを膨らませているという。
また、ここでは従来の「目的と現実の差分を埋めるような問題解決法であるギャップ・アプローチではなく、「ポジティブ・アプローチ」という方法を取る。
パーパスの策定は、絶対的な数値や正解にたどり着くプロセスではなく、「自分たちはどうありたいか?」という自ら生み出し挑戦するスタンスを取るためだ。
ポジティブ・アプローチ
ポジティブ・アプローチ | ギャップ・アプローチ |
---|---|
未知の領域でイノベーションを 生み出すときに有効 | 既知のものを効率的に 実施するときに有効 |
①誰もが未経験で、うまくいく 方法がわからないもの ②複雑性が高く問題が 特定しにくいもの | ①勝ちパターンが既に 完成しており、その改善など ②問題や対応策が 明確にできるもの |
想い・価値観 | 客観性・確実性 |
本音が話される | 建前が話される |
共感的に聴く 背景に目を向ける | 批判的に聴く |
自分ごと 主体的にかかわる | 他人事 コントロール感 |
STEP5 X年度のビジョン(ありたい姿)とPurposeの策定
強みを発揮し続けた結果、X年後にこの会社がビジネス雑誌に取り上げられたら、どんなふうに紹介されていたいか、という記事を自ら作成する。即興のスピーチを行うこともある。
ここまでのイメージを統合して、パーパスを一言で表す。
丹羽真理 [2018]『パーパス・マネジメント』クロスメディア・パブリッシング(インプレス)